今年最後の山行。
やはり多良山系を巡りたい。
今日は家の方も車を使うので、妻に送り迎えしてもらっての山登りとなる。
何も考えず、八丁林道駐車場を目指すが、ふと考える。
妻に送り迎えしてもらえるなら、登り口と降り口を変える手がある。
ならばと、急遽、登り口を平谷に変更する。
この変更が、奇跡的な出会いを生むことになる。
平谷に着くと、車が一台。
年末の30日、山に行ける人は限られることだろう。
静かな平谷を歩き始める。
陽が射さないちょっと暗い道を歩き始める。
心地よい登山道を進むうち、林道を経て、馬の背に到着する。
ここからが平谷ルートの醍醐味だ。
目の前の登山道が変化に富み、歩くことが楽しくなる時間が続く。
途中、多良の鉄人Aさんに抜かれる。
相変わらず速い。
平谷越を経た後、経ヶ岳へ向かう。
途中の展望岩からの眺めは霞が濃く、遠望はきかない。
思いの外、風は冷たく、経ヶ岳までの道は寒かった。
経ヶ岳山頂が近づく、何人かの登山者が見え、話声が聞こえる。
たくさんの山頂のようなので、すぐに寄って先に進もうと考える。
経ヶ岳山頂に着くと、4人の登山者と岩の奥に2人。
立って話をする4人にあいさつをする。
さて、どこで休もうかと、見渡しながら、岩の奥の2人に目をやる。
んっ!
思わず、ぞくぞくっと体に電気が走る。
あのタオルを巻いた男性の頭、その横の品の良いご婦人の横顔・・・
なんと、そよ風姉さんと山馬鹿さんだ。
十数年前、山を初めてから、ずっと親しくさせていただいているお二人。
8年前、対馬に帰ることになりそうな時は、お別れ山行をしてくださった。
一生忘れない青い青い空の多良。
対馬に帰った後、二人で対馬まで山を巡りに来ていただいた。
このお二人の言葉に何度救われたか数知れない。
このHPをずっとご覧いただいていて、いつか山をご一緒しましょうと何度も声をかけてくださる二人。
ご一緒したいと思いながらも、いつ山に行くかは前日に決まる始末なので、なかなか計画が立たず、叶わなかった。
そんなお二人が、今、目の前にいる奇跡。
心の中は興奮し、どう二人を驚かそうかととっさに頭がぐるぐるする。
目の前に出て、わっ!というか。
後ろから「がぉ〜」と叫ぶか。
だまって、肩とんとんとするか。
まるで、子どものいたずらである。
結局、岩の背後から「こんにちは」と声をかける。
何の工夫もない再会に落ち着いた。
思わず声をかけられて振り向いた二人。
人間驚くとしばらく時間が止まる。
何が起こったか、わかるまで0.5秒。
再会を喜び合ううれしい時間。
今日、平谷に変えず、八丁林道駐車場を登り口にしていたら、二人の後をずっと追う形で出会わなかったかもしれない。
平谷から登ったからこそ、出会えた奇跡だった。
その後はもちろん、一緒に歩くこととする。
いつもは一人で息を切らしながら巡る道も、話をしながら歩くと楽しくてたまらない。
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途中、下りですれ違った登山者が、楽しそうに話す様子を見て、質問してきた。
「もしかして、登りもそんな風に楽しく歩いて登っているのですか。」
すかさず、そよ風姉さんが答える。
「登りは黙って歩いてます。」
そんな質問をしたくなるほど、楽しい声のお二人である。
山馬鹿さんが先頭でペースを作ってくれる。
ほどよく話ができるペースがとても心地よい。
体重増の昨今、二人のペースには着いていけないのではと思っていたので、ありがたい。
西岳を経て、金泉寺へ。
山馬鹿さんの
「ここ滑ります」
「頭注意です」
の声に、小刻みよく応えるそよ風姉さんの声。
一緒に歩くのが、ひたすら楽しい時間だ。
その後、金泉寺で昼食をとり、多良権現、座禅岩、多良前岳を目指す。
ところどころ、多良の山情報を聞きながら、いつか巡ってみたいルートに思いを馳せる。
夢のような時間はあっという間に過ぎ、最後の林道歩き。
ここでも楽しい話が続く。
今年の締めくくりの山登りで起こった奇跡。
感謝、感謝の多良である。
今年は不思議なことに、しばらく会えなかった山仲間のみなさんと会うことができた。
夏のhirokoさん、
秋の肉まんさん、コヨーテさん、
冬のそよ風姉さん、山馬鹿さん。
自分の人生を、山を豊かにしてくださっているみなさんに再会でき、
1年を感謝する今年最後の山行だった。
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